「え?・・・どうしたの?」

腕を掴んだまま言われた。

「着替え、もってきて」

と。

はい?

誰の?

なんで?

「着替え?」

「家、誰もいないんだろ?」

「え、うん」

そうだけど。

「一人にしておくわけには行かないから」

え?

ええ?

「え?それって・・・」

「俺のアパートに泊まれる準備してきて。待ってるから」

「え?いや・・・あの・・・!だ、大丈夫だよ!こ、子供じゃないし・・・」

慌てる私に、冷静な矢崎さん。

「子供じゃないから心配すんだろ?・・・いいから着替えもってきなさい」

矢崎さんの勢いに負けたと言うか・・・・。

「・・・・はい?」

疑問符つきの返事をして、私は家に入って準備をした。


・・・ちょ、ちょっと待ってよ。

なんでいきなりお泊りになるわけ?

・・・泊まるって・・・ああ・・・妄想が・・・・。

準備が・・・心の準備が・・・・。

出会って1年。

とうとうこの日がやってきたのかな・・・。



気がつくと、良くわからないセーターとか鞄に入れてて。

夏なのに!

慌てて洋服を入れなおした。

テンパリすぎ。

・・・だって、お泊りだよ?

テンパルって~。


自分の中で必死に落ち着かせようとしてたけど・・・・ムリ。


なんとか準備ができて、玄関をでると矢崎さんが待っていた。

私から鞄を受け取って、車の後部座席に置くと車を発進させた。