「今考えてみれば、俺も適当だったから適当な奴しか出来なかったんだろって思うけどさ。・・・女なんて信じねぇ。俺のこと「好き」って言うけど「顔がだろ」って心の中で突っ込んでた。ひねくれてたんだよな」
私と目が会うと恥ずかしそうに下を向いた。
「だけど、柊子と付き合うようになって「俺のどこが好き?」って聞くと「う~んと、優しいところでしょ。料理がうまいところでしょ。一番は大切にしてくれてるところ」って言ってくれたよな」
「・・・うん」
「で、一番最後に「顔も好き。カッコイイし、でも慌てたり余裕が無くなったりするとよくドアの角とかに小指をぶつけて悶絶するでしょ?それも好き」って訳わかんねー事言ってさ。女といて幸せだなって思ったのは、女に裏切られてから初めてのことだった」
「・・・ん」
そんなふうに思っててくれてたなんて。
「でも、思春期のトラウマって怖いよな。雷太が柊子から夏穂の事を聞いたような態度をとられたときには・・・一気に裏切られた記憶が戻ってきて・・・で、お前もかよって思ってしまって」
ああ、「お前もかよ」って、そういうことだったんだ。
「何度も何度も連絡をくれる柊子を信じたいって気持ちもあったけど、なかなか出来なくて。雷太に「どういうことだよ」って聞くと「そういうことだ」としか返ってこなくて。・・・イライラしてたときに、雷太が町で夏穂の友達に会ったって言うのを思い出して、できるだけ町に出て探して・・・日曜日に見つけたんだけど、その日は都合が悪いからってことで、夏穂も呼ぶから雷太も一緒に俺のアパートでってことになった。それが今日だったんだ」
あ・・・町で見かけた女の人って・・・お姉ちゃんの友達だったんだ・・・。
ちょっとホッとして。
「だから、柊子のこと嫌になったわけじゃなかった。俺の心の葛藤だったんだ・・・ごめん」
秋仁さんは深々と頭を下げた。
「やだっ・・・なんで、頭あげて」
慌てて肩を掴んで顔を上げさせた。
そしたら腕を掴まれて。
「柊子は?」



