秋仁は急いで封を切り、中を確認する。
中からは1枚の手紙。
そして
「鍵?それと・・・指輪・・・」
秋仁が封筒から取り出したもの。
それは柊子が幸せそうに
『秋仁さんからもらったの。この指輪と一緒に秋仁さんのことも大事にしていくんだ』
そう言って私に見せてくれた、柊子の思いが詰まった指輪。
いつも肌身離さずつけていた大切な指輪。
柊子は物に執着しないタイプだったけど、あんなに大切にしていたものを手放さなくちゃいけなかった思いはどれほど辛いものだったのか。
考えただけで切なくなる。
「おい秋仁・・・」
さすがに雷太も動揺を隠せない。
「夏穂、柊子はどこにいる?」
「家の自分の部屋」
秋仁は自信がなさそうに
「・・俺に会いに行く資格があるか?」
でも、私を真っ直ぐ見る。
その瞳はアパートに来た時のいい加減なものではなくて、その真剣さが伝わってきたから
「・・・好きな人に会うのに資格なんて必要?」
私は家の鍵をそっと秋仁に渡した。
「今日母さん社員旅行でいないから」
「・・・すまない」
秋仁は封筒に手紙と指輪と鍵を入れて部屋を出て行った。
柊子のことは秋仁に任せて。
「さて、雷太君。ゆ~っくり話でもしましょうか」
柊子の分もちょっといじめてやる。
振り向いて雷太の顔を見る。
「あ、はい」
私の考えが読めたのか、少し怯え気味に雷太は返事をした。



