今日は卒業式。

最後になるであろう制服に袖を通し、薄く化粧をして髪をセットして学校へ向かう。

「おはよう」

「おはよ」

途中、待ってくれていた遥と一緒に登校。



2人で学校へ行く途中、いつも寄る駄菓子屋で小さなドーナツを買った。

食べながらの登校。

「これが出来るのも最後だね」

遥の言葉にちょっと寂しくなる。

「だね」

なんかしんみりしちゃうな。

「柊子は今日矢崎さんと会う?」

「ううん。今日はお母さんとお姉ちゃんがお祝いしてくれるって言うから、明日だと思う」

「そっか」

「遥は?」

「うん、真がお祝いしてくれるって」

「そっか~。でも、真君と長いね」

「まぁね」

微笑んだ遥は本当に幸せそうで。

「なんか、遥、綺麗になったよね?」

「は!?何突然?」

ドーナツを口に入れる瞬間だったから、あんぐり口を開けて私を見る。

・・・その顔はどうかと思うけど・・・。

「いや、笑顔が優しくなったって言うか・・・」

「それを言うなら柊子だってそうよ」

「え!?私?」

遥の思いがけない一言にビックリ。

「うん。とげがなくなったって言うか・・・やわらかくなった」

「・・・そっか」

「人を好きになるとさ、自然と雰囲気が変わったりするのかもね」

「・・・うん」

そっか。

そうなんだ。

秋仁さんの笑顔を思いだして、優しい気持ちになる。

「ま、これからも、よろしくね柊子」

「何?突然改まって・・・」

「今、言っておかないと多分言えないから」

「・・・うん。私も。これからも良い友達でいてくだされ」

「・・・時代劇のじいちゃんかっ!」

笑いながら歩いていたら後ろから肩を叩かれて、