籠の鳥

俺は取りあえず近くの店で2人の情報を聞くことにした。

「ああ、女の子の方なら多分…脚を引きずっていたから声をかけたんだが、構うなってさっさと行ってしまったよ」

お礼を言って店を出て、宿の反対方向から来た女性に話しかけた。

「それならあっちで見かけたわよ。男の方が嫌がる女の子を支えていたわね」

「そう、か…」

表面では笑っていたが、心の中では不愉快になっていた。



顔を背けてその表情を出していると突然、2人の行った方から大きな音と砂煙がたち、悲鳴が聞こえた。

隣にいた女がも悲鳴をあげる。

「妖怪だわ!!この村に1度も入ってきたことがないのに…!」

そう言い残して、自分の身が心配なのか家族が心配なのか走って行ってしまった。



再び暴れている妖怪を見て走り出した。

近くまで来て妖怪の姿が分かってくる。

「…は!?あれっ…さっき会った百足じゃねぇか!!?」