籠の鳥

「ああ、大丈夫だ、あいつなら」

「そんなわけないだろ。長い付き合いらしいがたまには気を遣ったらどうだよ」

そう言ってやつはも部屋を出て行った。



やつはの言葉がずっと嫌な感じに残っていた。

「んであんな奴に…」

ボソッと呟きながらまんじゅうを食うが、口の中で味にはならなかった。



しばらく俺は静かにしていたからなにも変わらずマオ達は食べ物を口に運んでいたが、咄嗟に俺が立ち上がったのに気付いて見上げた。

何も言わずに部屋を出る俺にまだらは声をかける。

「どこへ行くんですか?」

「さやのとこじゃねぇよ。」

言葉を失ったまだらに気付かず大股で出て行った。

唖然とするまだらにマオは言う。

「不器用な奴だねぇ、まだらのお兄ちゃんは」

「そう…ですね」

まだらは苦笑いした。



………☆………

宿を出ると既にさやとやつはの姿はなかった。

しかも日も落ち掛けている。

俺は2人を探すように歩いた。