籠の鳥

｢ｵｼﾞｻﾝ引退したし｣

｢"元"がついても退治屋だろ？それはどうなんだよ？｣

ﾄﾞｻｯ

｢ﾄﾞｻｯ？｣

俺達は後ろを向いた。



後ろではﾌｳの手を押さえつけてやつはがﾌｳにまたがりｷｽをしていた。

しばらく俺は動けなかったが、ﾏｵが咄嗟に動いたのに目が覚める。

｢ちょっとお兄さんごめんよ。これｵｼﾞｻﾝの嫁なんだよね｣

そう言ってやつはを退かしてﾌｳを起こして引き寄せた。

相変わらずﾌｳは無表情をしている。

やつはは頭を掻きながら言った。

｢はぁ？そうなん。いやだってざくやが女がいるゆーてたし｣

するとｷﾞﾛｯとﾏｵがこちらを向いた。

あからさまに光るその目にﾋﾞｸｯとなる。

｢だったらあっちに寝てる彼女にしな。あっちﾌﾘｰだから｣

｢ちょっ…！｣

｢ﾏｼﾞ？やりぃ♪｣

｢ということでざっくん、虎猫をお仕置きしてくるから相手宜しく｣

そう言ってﾌｳを立たせ、部屋を共に出て行った。

やつはの目が眠るさやに向けられる。

俺は進もうとるすやつはの前に出た。