籠の鳥

「でかいからって、強いと思ってんの?」

「その言葉、そっくりそのまま返してやるぜ」

百足は脚を何本も動かし、俺を襲った。

しかし俺も負けじと剣で対応する。

百足の動きが鈍くなったところを見計らって、脚に飛び移っていき百足の頭を越した。

頭の下から地面を目掛けて大きな傷を与えた。

百足は奇声を上げる。

勝負が見えたようだったが、百足はそのまま倒れ込んでいるさやに尖った脚を向けた。

「こうなったら道連れだ…っ!!」

意識が戻らないさやには避ける余地がない。

倒れていく百足を止められるわけもなかった。

「さやぁぁぁ!!!」


もうさやは生き返らない…!!

さやを失うなんて……!!!


ふらふらな足取りで立ち上がり走り出したが、俺の前に百足が止まった。

「虫嫌いなんだってざっくん」

その言葉と共に、途中で止まった百足の陰からマオが出てきた。



さやを抱き上げて。