籠の鳥

さすがに怒り出した百足。

「ちょこまかと動きやがって!!!!」

ついにその1発が俺達に直撃した。

「うわっ!!」

さやがバランスを崩したことにより、俺は前方に放り出された。



しばらく転がったあと、急いで起き上がった。

「さや…大丈夫か?‥」

さやは元の大きさになって倒れ込んだまま反応を示さなかった。

むしろ後ろ脚から黒い血が流れている。

後ろからは百足が追ってきていた。



走り出し、さやを飛び越して百足に剣を向けた。
百足は脚を止め俺を見下ろす。

「お!負傷か?庇ってんのか?」

「俺が相手だ、でか百足」

「用があんのはその黒狼だけだ。人間には用はないよ」

頭の小ささには感謝する。

「さやは渡さない。俺の大事な相棒だ」

剣を強く握り直した。