籠の鳥

青年を座らせ、まんじゅうを差し出した。

さやに食べられないように俺の分をとる。

食いつくようにさやはまんじゅうを口に頬張った。

その早さに青年も見つめる。

「ゆっくり食べていいからな。この団子もいいぞ」

「ハてよ(待てよ)…ホれをホいつヒやっハらハくやホフんハハフハッヒハフハねぇハ…(それをそいつにやったらざくやの分がなくなっちまうじゃねぇか)」

「…話すか食うかどっちかにしろ。全く理解できない」

飲み物を出す俺にさやは必死に口の中のものを飲み込んで言う。

「ざくやお腹空いてないのか!?」

「そういうことにしておくかな」

水を一口飲む。

さやは俺の隣にくっついてきた。

「強がっちゃって」

そう言うとさやは人間の姿に化けた。

青年も声をあげて驚く。

さやは団子を持って俺の口元に近づけた。

俺は少し身を引いて避ける。

「さやが食べさせてあげようか?ざくや」

「いや、いいよ。それより今は無駄な妖力使うな」

「ざくや冷たいッ。さやは絶対戻らないからね!」

こういうところもまた、さやの性格。

一度決めたことは何があっても曲げない。


困ったものだ。


頬を膨らますさやを見てから、俺は団子を1つかじりとった。

そうするとさやは満足そうに戻って、残った団子を串ごと口に入れる。

「それでいいんだよざくや」