籠の鳥

さやは起き上がりながら澄ました顔でマオの隣に戻っているフウを睨んだ。

フウはさやを見ない。

「さ、虎猫は夕飯を作ってきてくれ」

「だったら最初に俺に頼むなや」

「つーか、毒でも入れるんじゃねぇのか?」

さやは起き上がってあぐらをかいてフウに嫌みを言った。

フウは横目でさやを見て言う。

「なんてはしたない」

「煩ぇよ。今その話してねぇし」

2人の間に火花が散った。

僕とざくやは巻き込まれたくない思いで身を引くが、マオは2人の間に割り込む。

「まあまあ2人共、同じ妖怪でしょ?仲良くするんだよ?さ、虎猫は台所へ行って」

そう言ってフウの背中を押した。

プイッと顔を背けて部屋を出て行く。

さやは尚、「変なモン入れんなよ」と喧嘩を売っていた。

フウを部屋から出したマオはさやに向き直った。

「そんなにピリピリしないでくれ。最近目覚めたばかりであまり感情をコントロールできないんだ。先輩として、仲良くしてやってよ」

さやは頬を膨らましてマオから目を逸らした。

「だって、あいつさぁ…」

すると部屋のドアが開いた。

「皆様、夕食の準備ができました」

「「「はえぇよ!!?」」」

マオは笑った。



唖然とする僕達と笑うマオを見て、フウは首を傾げた。