籠の鳥

身体を反る力はなくて、だらんとしたままさやは訊いた。

「守られたら、さやはどうなる?」

「そうだな、さやは生きていくんだな。仲間と」


仲間?


「仲間いなかったら、どうするの?」

「………………あー………それ考えてなかったな」

薄笑いしながらざくやは頭を掻いた。

もっとも、ざくやの顔はさやには見えなかったが。

「…いないのか?」

「だからあんなとこにいたんだろ」

「…ごもっともです」

雨が降り出して、さやもざくやもびしょ濡れになった。

近くの岩陰に入る。

さやを降ろして自分ではなくさやを拭いた。

さやは手でそれを払う。

「やめろ…ざくやが風邪ひく」

「ばか、人間様なめんな」

そう言って手を下ろさせて拭き続けた。

「人間は100年ぽっちしか生きられない弱い者だろう?だからあんな団体で暮らしている」

「俺は例外だから心配するな」