籠の鳥

周りから人が遠く離れると、ざくやは立ち上がりさやを肩に担いだ。

また村人が後ずさる。

「ざくやさん、そいつを渡して下さい!死んでませんよ?!」

「そんな引き腰で何ができる?俺が捨てると言ったんだ、構うな」

そう言って近くに置いた荷物を持って、避ける村人の間を通って行った。



その時にさやはぼやけかける視界の中、彼と目があった。

怯えきった表情でさやを見ていた。



彼が見えなくなった後、さやは微かに笑った。

ざくやが「なに笑ってる?」と問いかけてもさやは笑い続けた。



涙を流しながら。



去っていく地面に涙が落ちるのを見て、笑えてきた。

「旅人さん、人間って…………悲しいね」

「なぁ妖怪さん、妖怪って、虚しいな」

「……………何で?」

「そちらこそ、何で?」

そのやり取りにまた笑った。

「あまり病むことじゃないさ。あんたはどうやら悪い妖怪じゃない。俺を助けてくれたからな。俺もそんな奴を狩る気はないし、あんたは回復するまで俺が守ってやる」