籠の鳥

「知らない」と繰り返し、人々は彼を庇った。

さやではなく、仲間の彼を庇ったのだ。


あぁ…やっぱり仲間になんてなれなかった……。


斧が構えられる。

初めて死にたくないと、思えた瞬間だった。


目を瞑った時、誰かがさやの前に出てきた。

「やめろ、愚か者共」

両手を開いてさやに背を向けている。

男がその斧を持つ村人と向き合っていた。

「ざくやさん、そいつは妖怪です。俺達を殺そうとしているのですよ?」

「それだとしたら、もうとっくにお前らを殺しているのではないか?そうだろう?毎晩隣で眠っていたのはお前ではないか」

そう言って指名をされたのは彼だった。

「煩い!!お前に何が分かる!?」

彼は斧を奪ってざくやに斬りかかった。

さやは咄嗟にざくやの前に出る。

「やめろ――――!!!」


ズシャッ



ざくやが尻餅をついた時、同時にさやは倒れ込んだ。

ざくやがさやを受け止める。