籠の鳥

「気がきけなくて悪いね、寒かったかい?」とマオはコードを退かして僕に薄い掛け物をかけた。

僕の腕を折り曲げさせずに掛け物の上に乗せる。

「この中の薬がなくなるまで絶対安静だかんね」

相変わらずの変わらないトーンで高いところにある液体を指差して言った。



僕がそれに気付くのを見てから、またマオはさっきの席に戻って行き、資料に手を付け始める。

「まーくんの資料だよ。眠っている間に調べさせてもらった。まーくんは興味深いね。お陰でまーくんに寒がらせるようなことをしてしまった。早く資料を見たかったからね」

そう言いつつもマオは資料から目を離さなかった。


そんなにいい資料なのか…?

マオの目にとまる程の僕は一体…



眠る気になれず、僕はしばらく天井を見ていた。



ざくやが目覚めたのはそのすぐ後、丁度薬も切れ始めた頃だった。

「…っ、やべ、眠っちまったか…」

「あらら、おはようさん。早く労働してちょ」

「もう労働とか口走ってんじゃねぇか」

無視して僕から針を抜いた。

「無視かよ」と言いながら針を片付けているマオの隣から僕を覗くざくや。



だが、僕の様子を見たときざくやの顔色が変わった。