籠の鳥

木に何をするもなく寄りかかって座っていたまだらの隣に俺は座った。

「疲れたか?」

「少し。でも慣れてます」

「そうか」

そう言って俺はまだらの頭を撫でた。

それに気付いてまだらは俺を見上げる。

「ざくやって、いつも僕を撫でますよね」

それを言われて俺はバッと撫でていた手を上げた。

赤くなりながら謝る。

「わっ、悪いっ!嫌だったか?!」

まだらは首を振った。

「いえ、大丈夫です。僕一人っ子だったので、お兄さんができたみたいで嬉しいです」

笑って言ったまだらに俺も微笑む。

手を自分の方に戻して俺は話した。

「俺、まだらくらいの弟がいてさ。ついやっちまうんだ。気を悪くしないでくれ」

「別に気を悪くはしませんよ。人に撫でて貰ったことなんか、あまりないんですから」

「…それならよかった」

俺は笑って言った。

まだらも微笑んで返す。

「その弟さんは、今どこに?ご両親も一緒ですか?」

「あー…もういないんだわ、皆」

「ハッ…すみません…」

「いいよ、俺も同じようなことをまだらに訊いちゃったし」

俺は頭も木に寄りかからせて星空を見上げた。