籠の鳥

「うぅっ……ッ」

「やめろっ」

俺が口を出すと、俺を拘束する術が強まって余計動けなくなった。

「"いついつであう。よあけのばんにつるとかめがすべった"」

そこまで言うとまだらの頬を触って問いかけた。

「"うしろのしょうめんだぁれ?"」

まだらは目を瞑ったまま首を振った。

「知らない…僕は、誰も知らないっ」

「お前は知っているはずだ、思い出せ」

「………っ」

答えに詰まっていると、また女は歌を歌い始めた。

「"かごめかごめ"」

まだらの頭を撫でながら続ける。

「"うしろのしょうめんだぁれ?"」

そして愛おしそうにまだらを見つめた。



まだらはそれと目が合って目を丸くする。

女は口元を緩めて微笑んだ。

「僕………?」

待ちわびていたかのように、床に隠れていた術陣がまだらを中心に広がった。

「さぁ、生まれ変わる時がきたのよ、まだら」

そう言われてもまだらは動かなかった。