籠の鳥

しかしフウは離さないどころかフォルコに1歩も近付かなかった。

息のないマオを抱きながら俯いたまま、フォルコとの距離を保っている。

「どうした、早く来い」と言うフォルコの周りを何かが包んだ。

モノではない。

だが肌が痛いほど感じるもの…


あいつ、この後に及んでまだ……!


だがフォルコは身動きが取れなかった。

異様なほどの殺気。

それがフォルコの神経に呼びかけていた。

"逃がさない"、と。



フウの姿が徐々に歪んでいく。

細い身体から黒い羽が裂けて出てくる。

マオの姿はその黒い羽毛に隠れた。



フウは完全な姿ではないまま小さな狐に襲いかかった。







崩れている箇所が多く、人間の俺では渡れない場所があった。

「ざくや、乗れ」

そう言われて大きくなったさやの上に乗っかった。



それにこのままではつく前にダウンするとこだった。