籠の鳥

しかしマオは自力で立っていられずに、後ろにいたフウに倒れかかった。

そのまま地面に横になる。

「猫様!!」

「……っ…」


くそ…

毒狐め……


心の中で毒づきながら必死に呼びかけるフウの声をぼんやりする視界の中で聞いた。

「無駄だよ。人間には毒が入ったのと同じだ。…全てが見えていたのだろう?猫。妖怪には毒が効かない、なのに何故妖怪を助けた?」

それを聞いてフウもマオを見た。

マオははっきりとしないフウの見下ろす顔に手を伸ばす。

「マオ…何もできなくてごめんよ…」

「……」

言葉を失ってフウはただマオを見つめることしかできなかった。

それでもマオは続ける。

「憎んでいるよね…きっと……守れないまま、君をこんな姿にしてしまった…。オレはまたマオに笑ってほしくて……必死に研究して完成させた。なのに…なのに何の意味もない………"君は笑えない身体になってしまった"」

「猫様…それ以上……」

「君の笑った顔が、また見たかった…」