籠の鳥

「猫、本当の名前はどうした?」

「捨てたよ、虎猫が死んだ時にね」

「…まだそいつを虎猫と呼ぶか…」

再び突進してきたときには持っていた短刀で鋭い爪を流した。



着地してからまた突進してくる。

姿が見えないほどの速さでマオを襲った。

「猫様…」

「黙ってろっ…!」

「烏を黙らせたって無駄だ」

また突然、フォルコは進行方向を変えた。

マオをすり抜けて、出遅れたフウに牙を向ける。



それをマオは分かっていた。



「!猫様!!」

マオはフウの前に出て、フォルコに肩を大きく噛まれた。

フォルコは満足そうな笑みを浮かべる。



だがフォルコの頭に銃が向けられた。

フォルコは咄嗟にかわしたが、左耳の鼓膜が破れたのが分かった。

「まだ左腕が使えたのか…」

離れて痛みに舌打ちする。