籠の鳥

フウは唯一妖怪化している右手でフォルコを防いだ。

だが、その鋭い牙がフウの手に刺さっていた。

顔を歪ませながらも勢いよくフォルコを振り飛ばす。

「虎猫!大丈夫か!?」

「…これくらいどうってことございません…」

虎猫の手から止まることなく黒い血が流れていた。

それに少し辛い顔をする。



フォルコは着地をし、また突進をしてきた。

フウがまた構えるが、フォルコは急に方向転換する。

「気を抜くな、たわけが」
「!!」

突進してきたフォルコに気付いて避けたが、爪を立てられたらしく、左腕に切り傷が入った。

「ッッ!!」

急所は避けられたらが、もう左腕に感覚はない。

「もう左腕は使えないだろう。二丁拳銃をもつにしてもそれではな」

あざ笑うように言い捨てられた。



少し腹も切られている。


「猫様…」

心配そうに呼びかけるフウに何もできずにいた。

だが、伸ばしてきた手をそっと制す。