籠の鳥

まだらは既にフードを被って顔を隠していた。

「美味いか?」

「はい」

まんじゅうを頬張るまだらを見て訊くと、まだらは笑顔で答えた。

俺もまんじゅうを一口かじる。



既に隣でダウンしているさやにも訊いた。

「足りたか?」

「もういらねぇ…」

道端に大の字になって寝そべるさやはゲプッといいながら空を仰いでいた。

「まだ質問が途中だったな、まだら。これからどこかに行く予定はあるのか?」

水を一口飲んで水筒を膝の上で持ちながら肩を竦めた。

「僕はただ、妖怪に捕まらずにいればいいと思ってたから…行く宛ては考えていません」

後ろに手をついて体重を乗せながら、俺はまだ訊く。

「どうして奴らはお前を追いかけているんだ?さっきも言ってたが、"姫"というのは一体誰だ?」

まだらは静かに首を振った。

「僕にも分からないんです。何故僕が必要なのか、誰に狙われているのか…ただ分かるのは、僕を必要とする妖怪が近付いてきた時、僕の頭の中である歌が流れるんです」

「歌?」

静かに頷いた。

そしてまだらは息を吸って歌い出す。