籠の鳥

どうやらあんなに溢れていた妖気はどこかに行ってしまっているらしく、やつはさんも森から出ているだろうと判断した。

「このまま敵の本拠地に向かいます」

フウはそう言って森の向こう側にある古い大きな館に急降下していった。



古くだだっ広い庭に降り立つ。

ただ、またやつはさんが来たときよりも風景が変わっていた。



しかし誰も気付く者はいない。

ざくやとさやは同時に降りて周りを見渡した。

「「広っ!」」

「どこにこんな広い敷地があったんだよ!?」

ざくやが言うなり降りてきたマオが隣に立った。

「幻覚だよ。いや、むしろオジサン達が騙されているだけだ。本当はもっとピッカピカのツヤツヤな館が建っている」

「お前どうしてそんな…」

「お見事、お前みたいな人間がまだいるんだな」

不意に声が聞こえてざくや達は武器に手を伸ばした。



目の前にはいつの間にかフォルコが立っていた。

「この古びた館は仮の姿。姫の思い通りに姿を変えられる」

「出た、おとぎ話に浸った妖怪。姫って一体誰だよ」