籠の鳥





目覚めたさやは、何も覚えていないようだった。

だが、あったことを全て伝えるときっと自分を責める。


さやはそういうやつだから…。


ざくやはそう思い、さやをフウの上に乗せた。

さやは身震いをしてざくやを見る。

「ざくやに持ち上げられた。」

「黙れ、犬」

「わん。」

さやも飛べるが高度までは飛べない。

だからフウの世話になる。

「なにこの画。森の音楽隊か」

「いやなら降りて下さい。重いので」

「いっそのこと飛べなくしてやろうかオラ。あぁ?」

「さや、そうしたらお前を飛べなくするぞ」

ざくやがそう言うとすんなりフウの背中でお座りをした。

さやをマオと挟むように、ざくやは後ろに乗る。

「やっくんが心配だ、虎猫急げ」

「掴まって下さい」

羽を広げてバサバサと勢いをつけて飛び上がった。

ざくやは狼のさやが落ちないようにしっかりと抑え込んだ。