籠の鳥

そういえば、あの子かよに少し似てる……。

気のせいか…?



""気のせいなんかじゃないよ""



そう声が聞こえ、ゆっくり視界を上げた。

少女がさっきよりも近くにいる。



"「この子の名前、男の子でも女の子でも、まやにしよ」"



かよが死ぬ前夜に言った言葉が蘇る。


やつはさんは無意識のうちに手を伸ばしていた。



「…ま……っ…」


まや…


そう呟こうとしたが、やつはさんの口からその名前が出ることはなかった。



力無く手が下がる。



少女は本当の姿を現し始めた。

顔に亀裂が入った操り人形―。



「ゲームオーバー、パパ…」

そう言って、自分も消滅した。



人形が落ちた音は、誰も聞いていない。