籠の鳥

そしてついに、やつはさんは背後に何かぶつかった。



バッと振り返ると大きな、きっと少女が動かせないくらいの大きな瓦礫が壁を作っていた。


しまっ…!


しかし少女を見ると手持ちの瓦礫がない。

最後の希望をかけて唯一の武器、槍を少女に力一杯投げた。



すると何故か、ふいに彼女の顔が心の中に浮かんだ。


……かよ…。


それはやつはさんの大切な人。

妖怪に殺され、かよが唯一の証拠、子供も殺された。



飛んだ槍は少女の目の前でピタリと止まった。

「ゲーム」


復習を誓ったはずなのに……


その槍はやつはさんに向いて飛んできた。



「オーバー」



彼女の声と同時にやつはさんに槍が刺さった。

「ぐはっ……!」

しばらくしてから血が身体の中で込み上げてくる。

ボウッとする視界の中で、少女が目に入った。