籠の鳥

「駄目だなぁおじさん。人を指差すだなんて、妖怪より酷い」

おじさんの伸びている人差し指に垂直に刃を当てて言った。

「ひいぃぃッ」と指を引っ込めて尻餅をつく。

「おじさん、あんたさっき、お礼がなんたらって言ったよね?なら、おじさんちのまんじゅうと団子、全部譲ってくれない?」

剣を肩に担いで上目線でおじさんを脅す。

何のためらいもなくおじさんは何度も首を縦に振った。



まんじゅうと団子を受け取った俺は、まだらに「はいよ」と持たせた。

まだらは驚いた顔をする。

「たんまり飯食わせろって言ったろ?今回は俺の稼ぎでの飯だ。お前は、俺に自らの力で飯を食わせるまで俺から離れちゃいけねぇからな」

そう言って微笑むと、まだらは笑顔を見せた。

フードを取ったままのまだらは、自然に笑顔を作っている。



その日のうちに俺達は村を出た。

あまり長居をしてもまた妖怪を呼ぶだけだ。



少し村から離れたところで山程貰ったまんじゅうを食べていた。