籠の鳥

「まだら…辛い思いをさせたの……」

飛び込んできたまだらを母は優しく、でも強く包み込んだ。

まだらは顔を押し付けながら首を振る。

そんなまだらを優しく撫でた。

「あの時、村からおまえを連れ出せなかった。それを何度悔やんだことか…」

そして撫でるのをやめ、突然まだらの顔を両手で包み込んだ。

まだらの目線に合わせてしゃがむ。

「でも全てはおまえのため……まだら、おまえの中には既に自覚症状があるのだろう?」

「え?…」

「私を一目見て驚く素振りを見せなかったのもそうだ。私が妖怪だと知っていたはず」

そのまま親指でまだらの頬を撫でた。

「可哀想にのう。こんな醜い人間の姿に生まれてきてしまった。私が人間の小童に恋をしたあまり……全ては揃った…おまえに罪はない、すぐに元の姿に戻してやる」

母がそんなことを言って、まだらは咄嗟に顔を振って母の手を放させた。

「別に悩んでいるわけはない。僕は人間だ。妖怪の血が流れていても、心は幼い頃から人間を好んでいる」

「まぁ…なんて汚らわしいことを…!」