籠の鳥

広いホールの奥に階段がある。

案内されるままにまだらはフォルコについて行った。

この長い廊下でも、まだ気持ちの整理はできていなかった。

それでも真実への部屋はどんどん近付いている。



やっと整理がつき始めた時、ある部屋の前に辿り着いた。

明らかに他の部屋とは違う扉である。

まだらが手をかける前に扉は勝手に開いた。



独特な臭いと共に微かに懐かしさのする声が聞こえた。

「…まだら?そこにいるのはまだらかい?」

フォルコは返事をしてまだらを中に押し入れた。

「まだら…私の愛しいまだら、こちらへおいで…」

広い部屋の真ん中には両手を大きく広げる人間がいた。



だがその形状は異常だった。

大きなふわふわの尻尾を纏うように揺らし、優雅に着物を緩めて着ている。

そんな女の人でもすぐにまだらは分かった。

「かあ…さん……っ」

走り出してその胸に飛び込んだ。

どうやって生きていたかなんて、その時のまだらには考えられなかった。



母の腕が懐かしく温かかったから―。