籠の鳥





マオは思わず眼鏡をとった左目をおさえた。

フウもそれに気付き視線を上に向けた。

「猫様?」

「いや………やっぱりおかしいな。ここは妖怪の楽園だ。気が狂うほど妖気が荒れてる…」


空を飛んでいてもこの妖気だ…一体ここには何があるんだ……?

まさかここが本拠地ではあるまい…。


「虎猫、もう少し高く飛んでくれないか?」

フウは返事ではなく行動で示した。

すぐに高く昇ると、辺りの地形がすぐに分かった。

「…あらま…なんて分かりやすい」


地上を歩いているだけではきっと分からなかっただろう。


ある場所を囲むように深い森が隣接しているのだ。

そしてその深い森には荒れ狂った妖気が渦巻いている。

「これはこれは、なんて勢力結界を張ってるのかね。妖怪が一歩踏み入れれば問答無用で妖力が爆発するのか…」


だとすれば、さっちゃんも危ない…。


「虎猫、すぐに降下しろ。森には入るな」

「はい、猫様」