籠の鳥

「ああ…そういえば少しダルくなってきたのも気のせいではないかもな」

「ヤバいじゃないですか!!」

脳天気に言う姿を見て心配するのをやめようと思ったが、顔色が少し悪いのはすぐに分かった。

ざくやが雪を丸めながら歩いてくる。

「お?どしたい?ギブかい??」

「いやまだまだぁ!!」

「違うでしょ!!」

僕はやつはさんの手を掴んでざくやに言った。

「ざくや何やってるんですか!?やつはさん風邪ひいちゃいますよ!ただでさえ村がないんです、何かあったらどうするんですか!?」

「それは本人が承知の上だろ。つーか、俺別に悪くねぇし」

「ざくや!!」

僕が怒鳴ったことでざくやとの睨み合いがしばし続いた。



先にそっぽを向いたのはざくや。

「お前がそんな分からず屋だとは思わなかった。もういいさ、まだらなんてどうにでもなっちまえよ。じゃあな」

そう言ってざくやは背中を向けて歩いていってしまった。

「待てざくや!さやも行く!!」

さやはざくやに叫びながら僕に小さく言った。

「必ずざくやを戻らせるから。まだらはどこか安全な場所見つけて身を隠しておけ、いいな?」

返事も聞かずにさやは走って行った。

取り残された僕とやつはさんは取り合えず小さな洞窟を見つけ出し、その中で焚き火を起こした。