籠の鳥

それでも容赦なくざくやは頭をゲシゲシと踏んだ。

「よぅ言えたなそんなこと。俺の家族や、手ぇ出すな」

ブラックなざくやを初めて見たのもあって、足を止めてしまった僕をさやはまた引っ張った。

「気にするな」

「いや凄く気にしますよ」
「まーくんは優し過ぎるからね、それが悪くならなきゃいいけど」

僕は目を大きくした。

マオの言葉はよく理解できなかったのだ。

でもただ、嫌な予感がしたのは確かだった。



北には村が少ない。

歩いても歩いても雪と木々が広がる道しかなかった。

「日が暮れてきたな…今日は野宿だな」

「何言ってるんだ、"今日も"だろ?昨晩なんか凍え死にそうだったのに」

やつはさんがざくやにうんざりして言った。


僕はさやに包まれていたからあまり寒くはなかったけど…

ざくやは野宿は慣れてるだろうし、マオとフウはよく分からない。


すると突然前を歩いていたマオが立ち止まった。

そして振り返る。

「ごめん、オジサンここから少し別行動するわ」

そう言ってフウの魔妖石を外した。

「おい、どこへ行くんだよ?」

咄嗟にざくやが言う。