籠の鳥

「その時はオジサンが責任持って処分する。まあ、そうならないようにしつけをしているけどね」

さやが「しつけなんてされてない…」とイラつきながら呟いた。

それからまだらが、引き止める俺を振り払ってフウに向くやつはの槍を掴んだ。

「まさか…お前も手下か?」

「確かに僕の中には妖怪の血が流れてます。ですが、僕もさやもフウも、ざくやとマオの手下ではありません。僕達は、深い信頼を持った仲間です」

強い視線でやつはを見上げていた。

俺はそれに安堵のため息をする。

「人間も妖怪も、生きていることには変わりがない生物です。ちゃんと心はあります。犠牲者だと思っていた僕達が、いつか加害者側にまわっていたのかもしれません。そうなれば妖怪が怒ることは当たり前でしょう」

「………」

納得いかない様子で、だけど何も反論せずにいた。

「…お前が妖怪に恨みを持っていることは分かる。家族を殺されたことはとても悲痛だ。でもお前は強い。よかったら、俺達と一緒に来てくれないか?」

それを言うとやつはは槍から力を抜いて振り向いた。