籠の鳥




「ふざけるな!!何故殺さない!?」

黒狼に戻ったさやを見てやつはは立ち上がって怒鳴った。

それを無視してマオとフウはさやを診ている。

ただまともに反応しているのはまだらだけ。

「やつはさんっ…」

「そんな奴を助ける必要があるか?!妖怪はいつか人間を殺す!!そいつは今、ただ猫を被ってるだけだ!!」

「さやはそんな奴じゃない」

そう言って入ってきた俺にまだらは反応した。

キッとやつはは睨む。

「さやは妖怪の方が嫌いなんだ。あいつは人間には絶対に手を出さない」

それでもやつはは気に食わない様子で俺を見た。

「お前も妖怪に恨みがあって退治屋にまわったんだろ?襲ってこないからこそ始末しやすいじゃねぇか。殺気がないから敵じゃないって、お前は正気か?」

「俺は妖怪に恨みなんかない。弱かった自分の責任を負っただけだ。だから無害な妖怪の命は奪わない。こっちが無差別に手を出せば、次は妖怪が被害者だ」

すると突然やつはが俺につかみかかった。