籠の鳥

黒い身体にいくつもある脚、この村に入る前に遭遇した妖怪。

「誰だ!!ボクの仲間を殺したのは!!!」

そう叫んで家屋を破壊していた。


そうか…まだ仲間がいたのか。


俺は破壊活動を続ける百足に咄嗟に叫んだ。

「お前の仲間を退治したのはこの俺だ!!」

奇声を上げて振り向いた。


これ以上被害を増やしてはいけない…!


だが、妖怪が向かって来たとき、やっと大事なことに気付いた。

手を後ろにまわしてはっと息を呑んだ。


しまっ……!

剣は………っ!!


そして妖怪に目をやった。

もう避けきれる距離ではない。



死を疑い始めた時、俺は誰かに体当たりされ百足の軌道から外れて命拾いした。

地面に叩きつけられた痛みを必死にこらえて見ると、俺の上にはさやが乗っかっていた。