「わかった、すぐに行く」
俺は携帯を閉じ、
鍵と財布だけを
ポケットに詰め込んだ。
スウェットにTシャツ。
でも着替える時は
僕らにはなかった。
「…先輩…」
「山本…本当にごめん…」
俺は後ろに呆然と立っていた
山本に頭を下げた。
「本当に…ごめん…俺…やっぱり、大事なもの…見つけたんだ」
こんなの
許してもらえるわけがない。
俺が勝手にしたことに
山本は何も言わなかった。
怒るのは
当たり前だ…
「本当はね…あたしも、こんなんじゃ何の解決にもならないって、わかってました」
山本は怒るのでもなく、
荒れ狂うのでもなく、
すべてを悟ったように
ただただ静かに涙を流していた。

