「かしこまいりました。ペアで?」
「いえ、片方だけで」
俺が気まずそうに言うと
女の人は少しも笑顔を崩さずに
白い手袋をはめて
指輪を取り出した。
「こちらでよろしいですね…サイズは、おはかりいたします?」
そう言って山本の方を見た。
店の人は
俺たちをカップルだと勘違いしているらしい。
「あ、彼女じゃなんですよ。ついてきてもらってるだけで…」
「申し訳ありません!…ではサイズなどはお分かりでしょうか?」
「8号で」
「かしこまいりました、只今用意します」
そう言って
女の人は奥の方へ入って行った。
「あってよかったですね」
「そうだな」
山本は嬉しそうに俺を見て、
横にあったネックレスコーナーや
ピアスコーナーを見ていた。
「お客様、ではこちらの指輪でサイズ9号が、お値段こちらになります」
そう言って女の人は
電卓を出し、
俺はその文字をもう一度確認してカードを出した。
「一括で?」
「はい」
カードを使うのは
いくつになっても緊張してしまう。
俺は戻ってきたカードを
急いで財布にしまった。

