「あ、ここですよ」
少し歩いたところの角に、
綺麗なこじんまりとした店がたたずんでいた。
“jewelry house”
そう書かれた店の扉を
開けると、いい香りが漂った。
「いらっしゃいませ」
綺麗に髪を束ねた女の人が
俺らに会釈をした。
緊張のあまりか
会釈を返してしまう。
そんな俺をそっちのけで
山本は指輪コーナーへ向かい、
俺の探している指輪を探している様子だった。
「…お客様、婚約指輪でございますか?」
「え、いえ…」
俺は話しかけられ、
返す言葉が見つからない。
「では、記念日か何かで?」
「あ、はい。そうなんです」
俺がそういうと、
女の人は
にっこりと笑った。
「あ、先輩ありましたよ!」
「ん~…ああそれそれ!」
俺はガラスの向こう側の
綺麗な指輪に目を向けた。
値段は
変わらない値段。
これがおれのなけだし…
少し悲しくもなったが
『これをお願いします』と頼んだ。

