最後の天使


俺はなるべく
早くご飯を食べることにした。

今日の買い物は、
家に、指輪に…

長くなりそうだったからだ。




「ごちそっさん」


「はーい」


そう言って、
俺はお皿を洗う山本に
食べ終わった皿を渡した。


「ひげそってくる」


「はーい」



皿を洗う姿が、
美紀と重なった。




俺はシェーバーをつけて
ひげをそり、
顔を洗って
長袖のTシャツを着て、
ダメージジーンズをはいた。



「あ、先輩カッコいい」


「そんなこと言っても、何も出ないぞ」


俺はリビングで待っていた
山本と冗談を交わしながら
車のカギを取った。


「じゃあ、行こうか」


「はいっ」


山本も鞄を取り、
高いヒールの靴をはいた。


隣の家の奥さんが
俺をじろじろ見る。

どうせ
浮気か、女を変えたか…
なんて想っているんだろう。

浮気してるやつが、
記念日に
なけだしのボーナスを使い
指輪を買うやつがいるか。

そう思いながら後ろめたい気持ちをかき消した。