俺は
気が狂うほど走った。
「あ!お客様!」
「すい…ませ…今、呼んできます…から」
俺は
ゼイゼイ言いながら
最後の力を振りきって
マンションの中へ入り、
山本の消えていった部屋をノックした。
「すいません!!」
ドンドンドン…
『はい』
向こうからは
山本ではない
低い声が聞こえ、
開いた戸からは
髪もひげもはやしっぱなしで
スウェットのズボンに
タンクトップを来ている
男が出てきた。
「ここに、山本 唯、来ませんでしたか?」
「あ?お前誰だよ」
男は機嫌悪そうに
俺の顔をじろじろ見まわした。
「会社の、俺の後輩です。仕事のことで、急ぎの用なので」
「唯?いねえよ」

