最後の天使



「ねえ、明日仕事休めない?…」


美紀は
俺の手を握りながら
ぽつりとつぶやいた。

不安そうな顔。

いつもの
姉御肌の美紀が
小さな女性に変わっていくのがわかった。


「いいよ、ちょうど有休もつかわなきゃいけなかったしな」


「よかったあ…」


咳をまたする美紀の
目もとをなでた。

うつろな目をする美紀は
今まで
風邪を我慢してたようにも見えた。


「何か買ってくるよ。ここで寝てて、すぐもどるから」


美紀の手を布団の中へ戻して
俺が立ち上がろうとしたとき、


昔よりもほそくなった腕が伸び、
力なく俺を呼びとめた。






「ここにいて。どこにも行かないで」






熱のせいか目にたくさん涙をためている
美紀は
俺を引きとめた


「…でも、何か食べないと」


「明日は必ず食べるから、今日はここにいて」



俺は甘える美紀を可愛く思い
また愛しく思った。

そしてベットにもぐりこみ、
抱きしめた。



「あったかいわ。美紀」


「熱うつるかな?」


「大丈夫。もう寝な」


「うん…」