「美紀、ちょっと熱はかってみ?」
「うん、ちょっとまってね。今終わるから」
そう言って、
美紀はまた皿を洗い始めた。
俺は
美紀にまわしていた腕を
ほどいて、
救急箱を開いた。
この救急箱も
美紀が『もしものために』と
買いそろえてくれたものだ。
何もできない
駄目な俺に
なんでもできる
最高の美紀。
「あ、あった」
俺は救急箱から
探し当てた
温度計を持って、
美紀の待つリビングへ向かった。
「はい、はさんどきな」
「ありがとう」
俺が
テレビの前に胡坐をかくと
美紀は甘えたように
膝に座り、
同じようにぼーっとテレビを見ていた。
小さな美紀は
もっと小さくなったような気がした。

