みんなみんな大好き。 私もだーい好き。 そんなお兄ちゃんの苦しみを知るのは、もう少し後のことだった。 「ただいまー」 玄関を開け、入ると冷気に満ちていた。 我が家の涼しさにふぅと一息つく。 「おかえりー、ジュースあるよ」 パタパタと忙しく団扇を動かしながら、本を読んでいるお母さん。 お兄ちゃんが、私の分もジュースをついでくれた。 泡がコップの中ではじける。 グレープ味のソーダを飲むと目から涙が出た。