「すいません、ドア開けてもらえます?」 翔が、廊下側の人にいうと慌ててその人はドアを開けた。 「ありがとう」 その声が聞こえたかと思うと、彼の歩く速度が速くなった。 恥ずかしい。 心の中でそう思っているはずなのに、その反面嬉しい気持ちが沸いてくる。 包まれる体が、熱を帯びてくる。 きっと今、私の顔は真っ赤だろう。 「裕子っ!あともう少しだから、頑張って」 耳に届いた声。 私は、小さく返事をする。