「何が“俺には俺の思いがある”よ?強がってんじゃない!」 結城の声が、響く。 私は、もう二人を目で捉えられる位置に来ていた。 手があがり、良兄の頬に向かって下ろされた。 危ない! 私は、いつの間にか目を瞑っていた。 音がしない? 開いていくと、良兄の手が結城の手を掴んでいた。 「そういう風に、自分自身を壊してどうするんですか・・・!」 良兄が、ゆっくりと手を下げた。 と、私のほうを向いた良兄は、悲しそうに微笑んだ。