坂本が持っていたのは、よくマンションとかで見かける防犯チェーンだった。
というか、俺の部屋の防犯チェーンだ。

「蹴ったのか?」

「…心配だったからよ」

大体蹴って壊れるのか?
そう問いたかったが、この赤頭には合理的に部屋に入るという言葉は通用しないだろうと思って飲み込んだ。

「…何が」

「寺田の犬に目ェつけられてんだよ、あんた」

「な……」

「だから、選ばせに来た」

坂本の後ろに、松葉が見えた…気がする。