「…おい」
誰かの声がする。
床で寝た所為か、体が寒いし、痛い。
声?
…俺以外にいないはずだろ……?
「おい、…作家センセ」
いやいやいや、ホントありえないから。
此処オートロックだし。
大体チェーンと鍵かけて寝てたし。
どんだけ疲れてんのかなーーー
「作家せ、ん、せ、い!」
「…うるさい」
細く目を開くと、目に痛い赤が飛び込んでくる。
いつものスーツに身を包んだ、坂本茜が俺の肩を揺さぶる。
「…何でいんだ?」
上手く出ない声をつっかえつっかえ発する。
坂本は、あ、生きてた、くらいのノリで何かを俺の目の前に差し出す。


