「…それで良いワケ?」

田原の声は思ったより低く、優しかった。

「よかねえ」

田原から差し出されたタオルを遠慮なく使わせてもらう。

「んまあ、頑張りなよ」

身の引き所も見失わない様にね。

スラッとした長身がゆらりと立ち上がる。
ポンポンと頭を撫でられ、田原は帰って行く。

「…おめーもな」

この前、女と居るの見たぞ。

颯爽と歩いて行く金髪に向かって、聞こえない様に言葉をぶつけた。