[竹之内]
俺と真朱は暫く睨み合っていたが、何だかアホらしくなってきた。
「…あんたはケータイ小説嫌いだったんじゃないの?」
ふっと肩の力を抜いた真朱が聞いてくる。
「嫌いだ」
「…じゃなんで」
「……最初、インディーズで、書いてた」
物を書くのは嫌いじゃなかった。
だから、こういったのを書いてくれと言われた時も、喜んで引き受けた。
「…実際に売れてるんだから良いんじゃないの?」
方眉を上げて真朱が聞いてくる。
「ソレは別に良いさ。けど俺がインディーズで書いてたのは全然違うジャンルなんだ」
「は?」
「出版社っつーかなんつーか…あのニコニコ笑ってる女の人いるだろ?」
「…あー」
「あの人にプロット…って分かる?」
首を傾げる真朱。
「小説とか、脚本の筋書きみたいな物」
「ああ、つまり、説明書に沿って竹之内さんは小説を書く、と」
真朱は分かり易く解釈してくれた様だ。


