[真朱]

生暖かい空調。
古い本のにおい。
ーーー図書館。


騒ぎ立てるガキどもはいない。


「ねえTってなに?東芝?」

「CがキャノンでPがパナソニック?」

「…お前らね、ホントに進学する気ある?」

木月と、谷内と、田原。
女の友達はいるけれど、新聞部の日はこうして図書館に寄る様にしている。

木月は、弓道部を辞めて加藤のところの剣道教室に通うらしい。

谷内は、弓道部よりもロボット部に魅力を感じ始めたらしい。

田原はーーーーー

「…ん、なに?」

「いや、何でも」

留年。

元々出席日数が足りない上に今回の事件が重なって、

「なんか…ごめんね」

「自業自得だよ」

にこりと笑って頭を撫でてくれる。
金髪だった髪は黒くなり、ツンツンしていた髪型は大人しくなっている。

まあ それでもーーーー良いオトコなんだが。

「俺は君らの家庭教師になるから」

成績優秀者だったから、籍は置いてもらえるらしいけど、

「…ありがと」